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2023.03.01

株式会社設立に必要な書類は?作成すべき書類を解説します!

株式会社の設立には様々な種類の書類を準備しなければなりません。準備した書類は法務局に提出することになりますが、今回は、法務局に提出する書類について解説するとともに、法務局への書類の提出方法についても合わせて確認していきましょう。

会社設立に必要な書類

会社を設立するためには、法務局で設立登記をしなければなりません。設立登記には複数の書類が必要です。もれなく準備して、スムーズに設立登記を完了させましょう。

設立登記申請書

登記申請書は、会社名や本店所在地、登録免許税の金額や添付書類の一覧等を記載する書類です。様式は決められており、法務局のホームページからダウンロードできます。

登録免許税納付用台紙

設立登記の際には、登録免許税の納付が必要です。株式会社の登録免許税の金額は、資本金の0.7%です(100円未満は切り捨て。計算結果が15万円以下の場合は、15万円)。郵便局または法務局で登録免許税分の収入印紙を購入し、割印せず、A4サイズの添付台紙の右側に寄せて貼り付けて提出します。

定款

定款とは会社の基本情報や規則が記載された書類で、会社を設立する時は作成が必須です。定款には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があり、以下の5項目になります。

・事業の目的
・商号
・本店所在地
・設立に際して出資される財産の価額
・発起人の氏名及び住所

定款作成後は、公証人役場で認証を受けます。定款は紙ではなく、電子文書で作成して認証を受けることもできます。紙の定款は4万円の手数料がかかりますが、電子定款には手数料がかかりません。会社設立に必要な定款は、認証を受けた後の定款です。紙の定款で認証を受けた場合は、認証済みの定款の謄本を、電子定款で認証を受けた場合は、定款データの入ったCDR等の磁気ディスクを提出します。

取締役の就任承諾書

会社設立時に取締役として選任された者が、就任を承諾する旨を記載した書類です。様式は決められていませんが、選任された日付、役職名、就任を承諾する旨、書類作成日、選任された者の氏名及び住所等を記載します。

代表取締役の就任承諾書

取締役のうち、代表取締役に就任する者が、就任を承諾する旨を記載した書類です。会社設立時の取締役が1名で、その者が設立時代表取締役に就任する場合は必要ありません。

印鑑証明書

設立時の取締役が、就任承諾書に押印した印鑑の印鑑証明書が必要です。取締役会設置会社においては、設立時代表取締役の印鑑証明のみで問題ありませんが、その他の設立時取締役の住民票が必要になります。印鑑登録が済んでいない場合は、住民票のある市区町村役場で登録手続きをしなければなりません。登録に係る時間や手数料、必要書類は自治体により異なります。登録完了後、印鑑証明書は、自治体窓口以外のコンビニエンスストア等でも取得できます。定款認証時にも印鑑証明書が必要となるので、印鑑登録は会社設立手続前に済ませておきましょう。

資本金の払込みがあったことを証する書面

定款に記載されている資本金が、所定の銀行口座に入金されていることを証明する書類です。資本金の払込みは、定款認証の後に行うことが必須で、払込金額を数回に分けて払い込むことも可能です。この書面の様式はありませんが、通帳の表紙、通帳の表紙裏(口座名義人や口座番号等が確認できるページ)、資本金の振込が記帳されているページのコピーが必要です。インターネットバンキング等通帳がない場合は、銀行名・口座名義人・入金日・入金額が記載されているページを印刷します。入金が記載されている部分には、マーカー又は下線を引く等して、日付と金額が確認できるようにします。これらの書類が準備できたら、払込みに関する事項を記載した表紙をつけて製本します。全ての見開きページに会社実印で契印することになっているので、忘れないようにしましょう。

印鑑届出書

法人設立にあたり、代表者印、銀行印、角印の3種類の印鑑を作成しますが、そのうち代表者印は法務局に印鑑登録します。個人の実印を市町村役場に登録することと同じ意味合いですが、登録機関が異なります。代表者が2名以上いる場合は、それぞれが代表者印を登録することも、いずれかが代表して登録することも可能です。複数の代表者印を登録する場合は、各自が別の印鑑を用意して、代表者ごとに印鑑届出書を作成して登録します。

登記すべき事項

会社設立時に必要な登記すべき事項を記載した書面、またはCD-R等の電子媒体に記録して提出します。決められた様式はありませんが、具体的な記載例や、電子媒体で提出する場合の方法等は、法務局のホームページで紹介されています。

登記書類の申請方法

作成した申請書類の提出方法は、管轄の法務局へ持参、郵送、オンラインの3種類あります。選択した提出方法により会社設立日も異なるので、設立日にこだわりがある場合は注意が必要です。

法務局の窓口へ直接提出

本店所在地を管轄する法務局へ直接提出する方法です。法務局に出向く手間と時間がかかりますが、不備等があった場合は修正方法を提示してもらえるので、確実に登記を完了させたい場合に適した方法です。会社設立日は、窓口へ申請した日付になりますので、会社の設立日にこだわりがある場合には、法務局の窓口へ直接提出する方法が確実です。

法務局へ郵送

本店所在地を管轄する法務局へ郵送する方法です。窓口へ持参する場合と同様に紙での提出になります。郵送方法に決まりはありませんが、郵送した事実を記録に残すことができる書留や特定記録郵便を利用したほうが良いでしょう。会社設立日は、書類が法務局に到着して受理された日となります。

電子申請

法務局が提供する登記オンライン申請システムや、デジタル庁が運営する法人設立ワンストップサービスを利用して、オンライン申請することができます。オンライン申請をすることにより、法務局へ出向く手間と時間がなくなり、効率的に登記申請が行えます。ただし、申請用のソフトをダウンロードする必要があり、代表取締役が電子証明書付きのマイナンバーカードを持っている、ICカードリーダライタの用意ができる等の前提条件があります。
法人設立ワンストップサービスについては、専用ソフトのダウンロードは必要ありません。また、設立後に税務署や年金事務所等の行政機関に提出する各種届出書にも対応しており、引き続き利用することができます。
オンライン申請の場合の会社設立日は、申請が受理された日になります。登記所での登記の申請の受付時間は,8時30分から17時15分までです。申請書情報が17時15分以降に登記オンライン申請システムに送信された場合は,申請書情報を送信した日の翌業務日に登記所で受付されます。会社の設立の日は登記所で受付された日になりますので,例えば4月1日(木)の17時15分以降に登記・供託オンライン申請システムに送信された場合は,会社の設立の日は登記所の受付日である4月2日(金)になります。

登記完了までの日数

提出書類に問題がなければ、申請日から1週間~10日ほどで登記が完了します。登記完了予定日は、各地方法務局のホームページからも確認できます。提出書類に不備があれば法務局から連絡がありますが、不備がなければ登記完了した旨の連絡はありません。

必要書類の準備と設立登記の申請における注意点

法人設立登記の申請には、多くの書類が必要です。書類作成にはいくつかの注意点があります。注意点を念頭に置いて書類を作成することで、法人設立登記をスムーズに完了させましょう。また準備した書類を提出する際の注意点も合わせて確認していきましょう。

提出する法務局を確認する

法務局にはそれぞれ管轄が決められており、法人登記の申請は、本店所在地を管轄する法務局で行います。管轄外の法務局で申請手続きを行っても、申請は却下されてしまいます。法務局には全国8か所に所在する「管区法務局」と管区法務局の下部組織となる「地方法務局」があります。地方法務局は47都道府県に所在し、さらに支局や出張所が設置されています。法務局のホームページで管轄の法務局を確認して申請手続きを行うことが大切です。

設立登記には申請期限がある

法務局での設立登記申請は、資本金の払込みの後2週間以内に行わなければなりません。期限を過ぎても申請を却下されることはありませんが、法律上では期限を過ぎた場合、会社の代表者に対して登記懈怠で最高100万円の過料(罰金)の対象になるとされています。資本金の払込み完了後、設立届は迅速に行いましょう。

記載ミスや押印漏れに注意

設立登記の申請書類に不備があると、訂正して再提出する必要があるので、手間と時間が余計にかかってしまいます。再提出が一度ではなく、複数回になってしまうことも少なくありません。提出前には、記入漏れや誤字脱字がないか確認することが大切です。また、押印については、会社印を押印する箇所と、個人の実印を押印する箇所が混在しています。使用印鑑が間違っていないか、押印漏れがないかどうかも確認しましょう。

書類の綴り方には決まりがある

申請書類を法務局に提出する場合、書類を綴る順番にも決まりがあります。順番は以下の通りです。

①設立登記申請書
②登録免許税納付用台紙
③定款
④就任承諾書
⑤印鑑証明書
⑥資本金の払込みがあったことを証する書類

上記順番で重ねたら、左側2か所をホチキスで留め、設立登記申請書と登録免許税納付用台紙の継ぎ目に、会社の実印を押印します。押印後に、ホチキス留めしなかった印鑑届出書と登記すべき事項(紙提出の場合)を一緒にクリップでまとめて、法務局へ提出します。

登記書類の手続きは誰が行うか

会社設立登記の申請において、準備する書類の種類は多岐にわたり、様々な注意事項があります。もちろん自分で書類をそろえることも可能ですが、そろえる時間がない、面倒な場合等は、専門家に全て依頼してしまうのもひとつの方法です。以下において自分で手続きする場合と、専門家に依頼する場合のメリット・デメリットを説明します。自分の状況に合わせて、登記手続きを行う人を選択しましょう。

自分で手続きする場合のメリット・デメリット

自分で書類を準備する最大のメリットは、費用を抑えられることです。他には、会社設立手続きを経験することにより、経験や知識が得られることも挙げられます。ただし、設立手続には経験の浅い分野における知識が必要となるため、不明点等を調べる手間と時間がかかります。ミスが起こる可能性も否定できず、慣れない作業にストレスを感じることもあるかもしれません。また、設立登記手続に時間を取られてしまうと、他の業務にかけるべき時間が削られ、業務が滞ってしまう可能性もあります。

自分で手続きする方法

定款作成から法人設立登記まで、作成する書類は種類も多く煩雑であるため、多くの時間と手間を要します。自分で手続きを進めたい場合に利用したいのが、クラウド会計ソフト会社が提供する、会社設立支援サービスです。ガイドに従って入力を進めていくだけで、定款の電子認証から法人設立登記のための必要書類が作成できます。料金も比較的安価なので、利用を考えてみるのも良いかもしれません。

専門家に依頼する場合のメリット・デメリット

専門家に依頼する最大のメリットは、手続にかける手間と時間を減らすことができ、本来の業務に集中できることです。手続中のミスを心配する必要もなくなります。また、起業にあたって、さらには設立後においても、なにかと相談することもできるでしょう。会社設立前から相談相手がいることは大きなメリットです。ただし、専門家に依頼する場合は、費用がかかります。さらに、依頼する専門家を探す手間もかかります。

どの専門家に依頼するか

登記は司法書士の独占業務です。しかし、他の士業においても会社設立の依頼を受けることが増えています。依頼先ごとに、メリット・デメリットを説明します。会社のニーズに合った依頼先を選択することが大切です。

司法書士

司法書士は書類作成から登記申請手続きまですべて代行できるので、自分で法務局に行く時間と手間を省くことができます。ただし、設立時には許認可や補助金・助成金申請が必要になることもありますが、司法書士には代行権限がないため、これらの手続きは自分で行うか、他の専門家に依頼することになります。

行政書士

行政書士は書類作成や申請の専門家です。会社設立時に作成する定款の作成及び認証業務を代行してくれます。また、設立後に必要な認可手続きや補助金・助成金の申請を依頼することもできます。ただし、定款作成後の登記申請については権限がないので、自分で行うか、提携している司法書士が行うことになります。

税理士

税理士には、設立後の資金調達や節税対策の相談を含め、税務関係の業務を任せることができます。設立段階で助言を受けることで、設立後の資金計画や会社運営も進めやすくなります。ただし、会社設立に伴う書類の代行業務はできないので、自分で行うか、提携している他の専門家に依頼することになります。

まとめ

会社設立手続には多岐にわたる書類が必要になるため、余裕をもって準備を進めていくことが大切です。提出期限を遵守し、スムーズな会社設立を目指しましょう。