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2021.10.26

減価償却資産の資産計上:10万円、20万円、30万円の価格基準について

事業用の車両を購入した、オフィスで使うデスクを購入した、パソコン(PC)を取得した、これら減価償却資産を購入した場合には、全て資産計上しなければならないのか、費用処理することができるのか、悩まれた方もいらっしゃるかと思います。資産計上については、10万円、20万円、30万円という金額次第で選択適用できる処理方法が変わってくるのです。今回は、事業運営に必要な減価償却資産の処理方法について簡単に解説させて頂きます

減価償却資産とは

そもそも減価償却資産とはどういった資産をいうのでしょうか。減価償却資産とは、「事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの有形固定資産や、ソフトウェア、特許権、商標権、実用新案権、意匠権、地上権などの無形固定資産のように、一般的には時の経過等によってその資産の価値が目減りする資産」をいいます。土地などのように時の経過によってもその価値が減少しない資産は、減価償却資産には該当しません。

減価償却資産の取扱い

資産計上と費用処理の基本的な考え方

資産性のあるものは原則全て資産計上するべき、というのが会計ルールになります。ただ、少額な資産にまでそのルールを強いるものではなく、重要性の原則という会計ルールに基づき処理することも認められます。また、減価償却資産のように、時の経過等によってその価値が減少していくものは、その価値の目減り分を資産評価額から控除(費用処理)していくことが求められます。この価値の目減り分を費用処理したものが「減価償却費」といわれるものです。

税務上の取扱い

減価償却資産の資産計上と費用処理の根拠についてはご理解いただけたかと思います。それでは税金を計算する上では具体的にどのように減価償却資産を計算していけばいいのか。それが今回のテーマになります、取得価額が10万円未満のケース、10万以上20万円未満のケース、中小企業者等に認めれている取得価額が10万円以上30万円未満のケースの取扱いです。

取得価額が10万円未満のケース

減価償却資産の取得価額が10万円未満のケースでは、その全額を費用処理することが可能です。全額費用処理することができますので、利益が減少し、結果的には支払う税金も少なくすることが可能です。費用処理の際には消耗品費等の適当な科目を使って処理すればいいでしょう。

取得価額が10万円以上20万円未満のケース

減価償却資産の取得価額が10万円以上20万円未満のケースは、事業年度が1年の場合には3年間にわたって均等額を費用計上することができます。

取得価額が10万円以上30万円未満のケース

一定の要件を満たす中小企業者等は、時限的(何度も延長されています)に減価償却資産の取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の全額を必要経費に算入できるという特例があります。

10万円、20万円、30万円の判定(税込み・税抜き)

10万円、20万円、30万円の判定にあたっての取得価額は、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。

償却資産税との関係

毎年1月1日保有している一定の償却資産については、1月末に償却資産税の申告を行う必要がありますが、会計処理で一括償却資産とした償却資産についてはその申告の対象から外すことができます。なお、中小企業者の特例で10万円以上30万円未満の償却資産を全額費用処理した資産については、償却資産税の申告対象に含まれることになりますので留意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。減価償却資産は、会社の成長には欠かすことのできない資産である一方、法人税や償却資産税の計算においても取扱いが複雑ですが、まずは今回の記事で基本的な理解をして頂ければと思います。