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2021.11.01

インボイス制度とは?導入についての注意点を解説

令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始されます。それに伴い、インボイス制度における適格請求書発行事業者の登録申請の受付が、令和3年10月1日から始まります。インボイス制度の導入により、仕入税額控除の仕組みが今までとは大きく変わります。特に免税事業者は注意が必要です。インボイス制度の仕組みを理解し、インボイス制度の本格導入に向けて対策をしましょう。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」のことをいいます。インボイス制度が本格的に導入される令和5年10月1日以後は、仕入税額控除を行うためには、帳簿のほか、適格請求書発行事業者が交付する適格請求書(インボイス)の保存が必要となります。適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れは、原則として仕入税額控除ができなくなりますので留意が必要です。

インボイス制度導入の背景

現行の消費税率は原則10%ですが、「酒類・外食を除く飲食料品」及び「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に「8%の軽減税率」が適用されています。その結果、8%と10%の2つの税率が混在するようになりました。
そこで、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額を伝えるための手段として、「適格請求書(インボイス)」の発行を制度化することとなりました。

適用時期

令和5年10月1日~(経過措置あり)

「適格請求書発行事業者」とは

課税事業者であって、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受けた事業者をいいます。適格請求書発行事業者にならないと、インボイス(適格請求書)は発行できません。また免税事業者は適格請求書発行事業者になれませんので留意が必要です。

「適格請求書」とは

「適格請求書」とは以下6つが記載された請求書をいいます。

① 適格請求書発行事業者の指名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等(端数処理は一請求書あたり、税率ごとに1回ずつ)
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等の取引については、適格簡易請求書の交付を行うことができます。適格簡易請求書とは、以下が記載された請求書をいいます。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)又は適用税率

免税事業者の注意点

適格請求書の発行は適格請求書発行事業者しか発行ができません。適格請求書発行事業者は課税事業者しか登録の申請ができませんので、免税事業者は適格請求書発行事業者にはなれないということになります。そのため、取引相手が、適格請求書の発行ができない免税事業者とは取引ができなくなるのではないかと心配される方も少なくありません。この点、取引相手が消費者であればこれまで同様免税事業者のまま事業を営むことでも特に影響は受けませんが、取引相手が消費者ではなくとも、取引の継続は法的には問題はありません。ただ、取引相手は仕入税額控除ができない分を自己負担しなければならないことを考慮し、取引価格の引き下げを要求してくることも考えられます。各事業者の取引の状況に応じて、免税事業者のまま事業を続けるか、又は課税事業者になり適格請求書発行事業者の登録をするかを判断しなければなりません。

インボイス制度実施にあたっての経過措置

インボイス制度導入から一定期間は適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、仕入税額控除が認められる経過措置が設けられています。

期間 ~R5年9月30日 ~R8年9月30日 ~R11年9月30日 R11年10月1日~
税額控除割合 全額控除可能 80%控除可能 50%控除可能 控除不可

なお、上記の経過措置の適用を受けるためには、免税事業者等から受領する区分請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存及び経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿の保存が必要となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。インボイス制度の本格導入までに改めて自社の状況をしっかりと確認して頂けたらと思います。