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2023.08.10

会社設立にかかる費用はどのくらい?費用の内訳と安くするポイントを解説!

個人事業主が事業を拡大したり、新規事業を始めたりする時には会社の設立を検討することがあります。一見すると新たに会社を立ち上げるというと大変に思われるかもしれませんが、実際にはそれほど難しいものではありません。とはいえ、設立に当たってはいくつかの手続きも必要になり、費用も準備しなければなりません。どのくらいの費用がかかるかを事前に押さえておき、無理なく会社を立ち上げて事業を始められるようにしたいものです。
今回は「会社設立にかかる費用はどれくらいで、その費用の内訳とそれを安くするポイント」という観点から、確認していくことにしましょう。

今回は「会社設立にかかる費用はどれくらいで、その費用の内訳とそれを安くするポイント」という観点から、確認していくことにしましょう。

目次【本記事の内容】

1. 会社設立にあたって必要なこと

会社設立にあたってすべきことをまずは知っておきましょう。その中でも、費用がかかる手続きや作業を確認し、どのタイミングでどれだけの支出があるかを覚えておくとスムーズに資金準備ができるようになります。

登記などの公的な手続き

正式に法人を設立するにあたっては、法務局で登記をします。登記をすることによって初めて、申請した名前と代表者の名前で法人が誕生したと認められることになります。法人登記をするにあたっては、いくつかの書類を作成しなければなりません。それぞれの書類は、自分たちで所定の書式に従って作成できるものもあれば、関係役所から入手しなければならないものもあります。中には書類作成だけで費用がかかるものもあり、その書類に印紙を貼るものもあります。これが登記申請の手数料のようなものになるので、事前に準備をしておきます。また、登記を自分たちで行うこともできますが、専門家に依頼した場合は代行手数料もかかってきます。

定款や印鑑の準備

会社を設立するにあたっては、必ず定款を作ります。この定款は単に自分たちで保存しておけば良いというものではなく、会社が存在するという証にもなるため、登記申請の際に提出することになっています。定款の内容はある程度のルールがあるので、ルールに沿っていれば自分たちでも作れます。とはいえ、たいていは専門家のアドバイスを受けながら作っていくので、そのための費用も見込んでおく必要があります。また、会社専用の印鑑を作り、登記申請の際に印鑑届書を提出することになります。印鑑は新たに作ることになるので、作成費用もかかります。

資本金の用意

定款を作ったら、会社発起人の銀行口座に資本金を入金します。まだこの段階では法人として認証されていないため、法人口座を作ることはできません。そのため、とりあえず発起人個人の口座に入れて、資本金として保管してあるという証明を通帳のコピーを取るなどして行います。資本金は会社設立の一つの条件ともいえるものなので、立ち上げ段階での準備は必須です。設立後も資本金については公表して、会社の資本力を示すといった役割もあるので、しっかりと確認しておくべきポイントです。

保険への加入・税務手続

登記が終了して法人としての承認が下りたら、いくつかの必要な手続きがあります。そのうちの一つが保険の加入です。従業員のための厚生年金の加入手続きを年金事務所などで行います。従業員を雇うことになった段階から、すぐに保険金の支払いが発生するので、運転資金の一つとしてあらかじめ準備しておいた方が良いでしょう。
他にも、法人としての税金の支払いも発生します。法務局で行った登記申請とは別に、税務署にて法人設立届出書と税務申告についての申請書を提出します。また、地方税の納付も発生するので、本社を置く地域の自治体に地方税についての届出をします。多くの税金は年度ごとに納付しますが、従業員のお給料の支払いがある場合は源泉徴収して毎月納付することになるので、会社設立後すぐに支払いがあることも覚えておきましょう。

専門家のサポート

会社設立に関するさまざまな手続きは、有資格者の介入が求められているわけではないので、自分たちですべて行うこともできます。しかしながら、上記で説明したように、定款を問題なく作成したり法務局への登記申請や税務署への届出をスムーズに実施したりするには専門家の助けを求めるケースがほとんどです。また、具体的な手続きを確認したり、面倒な手続きを代行してもらうこともあります。そのような場合は、税理士や司法書士、行政書士、弁護士などのサポートを受けることになります。法定手続きにかかる費用とは別に、こうした専門家に支払う報酬も発生します。

2. 会社設立にかかる主な費用

今まで見てきたような流れで会社設立がなされるのですが、それぞれの過程で費用が発生するところとそうでないところがあります。そこで、手続きを行っていく中で、どこで費用が発生するのかをチェックして必要な資金を準備する目安を立てていきます。

法律上必要となる費用

すべて自分たちで手続きをするにしても、専門家に代行を依頼するにしても、絶対にかかる費用というものがあります。その一つが法的に求められる費用です。具体的には、登記申請時にかかる登録免許税があります。これは提出する書類に収入印紙を貼り付けるという形で支払うことになります。事前に該当する金額の収入印紙を購入しておき、書類に問題がないことを確かめてから所定の欄に貼って法務局に出します。
また、定款の作成にも費用がかかります。定款は内容を紙に印刷して原本として保管する方法のほか、印刷せずにPDFなど電子的に作成・保存する電子定款という方法を採ることもできます。定款の作成方法により費用の金額は変わりますが、定款作成は数万円ほどになることが多く、会社設立時に必要な費用の中でも比較的高めの金額です。会社設立後は、すぐに健康保険料や年金保険料、源泉徴収される税金といったものの納付が始まります。そのため、必要な資金をしっかりと準備しておかないと設立後の早い段階で資金がショートしてしまう原因となりますので、入念な資金計画が必要です。

印鑑にかかる費用

会社設立時には実印が必要で、通常は実印と共に銀行口座の取引で使う銀行印、そして見積書や請求書、注文書等に押印するための角印の3つを用意しておきます。インターネットで簡単に注文することも可能で、安価に作成することもできます。もちろん、会社の証明となる大事な印鑑なので、しっかりとした本格的な印鑑を作りたいという方もいるはずです。その場合は、数万円を見込んでおくと良いでしょう。印鑑が用意できたら、印鑑証明書を発行してもらう必要があります。役場で印鑑登録をして証明書を発行するには、数百円の手数料がかかります。

資本金

資本金は、法律上は1円以上で会社設立できることになっています。しかし、資本金の額が低いと、取引先や金融機関からの評価が低くなったり、債務超過に陥りやすくなるなどのデメリットがあります。そのため、ある程度まとまった金額の資本金を用意した方が安心です。ただし、資本金がある程度大きくなると税務上のメリットが受けられなくなる可能性もあるため、専門家のアドバイスを受ける場合も多いです。

3. 会社設立について

一口に会社設立といっても、立ち上げる会社の種類によって設立方法が異なります。その違いによって、手続きの内容と費用が変わってきます。
そのため、まずは自分たちがどのタイプの会社を立ち上げた方が良いのかを決める必要があります。それぞれの会社の特徴を押さえると同時に、上記の基本となる費用にプラスしてどんな支出があるのかを確認しておくと予算を立てやすくなります。

会社の種類

会社の種類には、法律によって株式会社、合同会社、合名会社、合資会社に分類されています。その中でよく選択される株式会社と合同会社について、その2つの会社の違いの主なポイントは、経営者と出資者の関係性です。株式会社の場合には経営者と出資者は必ずしも同じでなくともいいところ、合同会社の場合には経営者と出資者が必ず同じでなくてはなりません。
また、一般的にどちらの会社タイプにするかによって、扱える事業規模が変わってきます。株式会社の場合には、第三者に対して、株式を追加発行することで資金調達を大きくすることはできますが、合同会社の場合には、会社の経営に関係しない第三者からの追加出資は難しいため、事業規模の拡大にも制約がでてくる可能性もあります。
設立時にかかる費用の差にも表れますので、あらかじめよく理解しておきましょう。

4. 株式会社設立について

株式会社は、会社の種類の中でも多くを占めるもので、一般的な会社タイプとも言えるでしょう。そのため、会社設立をする場合、通常は株式会社の設立方法についての説明がなされます。株式会社の特徴とメリットを知って、株式会社で設立をするかを考えましょう。

株式会社とは

株式会社は、名称からも分かるように会社が株式を発行する法人です。不特定多数の外部の人を含めて、株式を引き受けてもらうことで資金を調達するという目的を持っています。
株式を持っている出資者いわゆる株主には、代表取締役などの経営に関わる人を選んだり解任したりする権限があるなど、幅広い分野で経営に意見することができます。一方で、株主はあくまでも自分が出資した金額分だけの責任を負うことになります。つまり、会社が破産するような事態になっても、出資金を失うだけということになります。このように、経営についての責任は有限で間接的なものとなり、出資者に大きな責任を負わせないのも大きな特徴となります。

株式会社のメリット

株式会社を設立する大きなメリットは、大規模に資金調達をしやすくなるという点です。株式を発行して引き受けてもらうことで、理論上はいくらでも資金を得ることができます。出資してもらったお金は、銀行から受け取る融資とは違って返済する必要はありません。そのため、同じ金額を調達するとしても使いやすい資金であり、負担を軽減できます。事業を大きくしたり安定した経営を行ったりするための大きな力となります。
もう一つのメリットは、株式会社という形態ゆえの信用を得られるということです。会社と言えばこの形態で設立されることが多いので、顧客を含めた一般の認知度が高いです。会社は一つのブランドであり、いかに良い印象を持ってもらえるかが大事ですが、株式会社にすることでこの面での一定のメリットが生まれます。

5. 株式会社設立にかかる費用

このような特徴とメリットを持つ株式会社ですが、合同会社と比べると会社設立にあたっての費用が高くなります。信用度が高いなどのメリットがある分、コストに反映されると思っておくと良いでしょう。具体的にどの分野で費用がかかってくるのかを確認して、合同会社との違いを認識しておくと手続きもスムーズに行えます。

定款作成のための費用

株式会社設立の場合は、定款を作り認証してもらう必要があります。作成した定款を公証人役場に持っていき、法的に問題がないことや登記申請に使われる定款であることを証明してもらいます。この認証手数料として3~5万円がかかります。定款を紙に印刷して保管する場合は、作成した書類に収入印紙を貼る必要があり印紙税として40,000円を納付します。
一方で、紙の印刷はせずに電子的に残しておくだけであれば、印紙代は不要となります。印紙税は紙に印刷した書類にかかる税金であって、電子ファイルは対象とはなりません。ただし、認証手数料はどちらも必須です。また、登記申請をする時には定款の謄本を提出します。謄本手数料はケースによっても違いますが、だいたい2,000円程となっています。

登記関連費用

株式会社設立の場合、法務局への商業登記をします。その際には、登録免許税が、「資本金の額×0.7パーセント」かかります。ただし、この計算をして150,000円未満となった場合は、一律で150,000円を納付することになります。そのため、最低でも登録免許税は150,000円かかることになり、会社設立の手続きでは最も高額です。登録免許税は直接現金で納めるわけではなく、申請書類に収入印紙を貼ることにより納付します。

6. 合同会社設立について

株式会社に対して合同会社というタイプの会社も存在します。全体としてはそれほど多くはありませんが、会社設立にかかる負担が少ないことや、経営の自由度が高いなどの利点もあります。そのため、両者の違いを比較して自分たちに向いている会社の種類を選びましょう。

合同会社とは

合同会社とは、経営する人と出資する人が同じであり、株式の発行を行わない会社のことです。つまり、融資などの手段は別にして、出資については外部からの資金を入れずに経営をすることになります。経営者や代表者たちが出資者となりますが、すべての人が有限責任者となります。

合同会社のメリット

合同会社と株式会社の大きな違いは、外部の出資者がいないということです。経営者は自分たちの考えで経営をしやすいので、自由が利くというのが大きなメリットと言えるでしょう。具体的には、利益分配を決める際には株式会社と異なり出資比率に縛られる必要がないので、定款で自由にその分配割合を決めることができます。さらに、決算公告をする義務がなく、役員の任期制限も存在しません。費用についてもメリットがあります。後述しますが、合同会社の場合は設立コストが安くなります。また、決算公告をしなくて済むので、75,000円程度かかる官報掲載費用もいらなくなります。

7. 合同会社設立にかかる費用

合同会社も、基本的には株式会社と同じ内容の費用がかかります。しかし、一定の手続きが省略できることになっているので、全体としては費用が低くなります。費用面での負担が少ない会社設立の手段ですので、手軽に開業できるというメリットがあります。

定款作成にかかる費用

合同会社も定款を作り、登記申請をする際にはその定款を提出します。しかし、株式会社では必須とされる公証人役場での認証手続きは不要となります。そのため、費用は定款作成時の印紙だけになります。紙に印刷して定款とする場合は40,000円の収入印紙代がかかりますが、電子ファイルに保管する電子定款の場合は収入印紙は不要です。こうしたことから、やり方によっては定款にかかる費用をゼロにすることも可能なのです。

登記関連費用

法務局への登記をする際、株式会社と同じく登録免許税を納付します。金額の計算も同じで、「資本金の額×0.7パーセント」と決まっています。しかし、最低金額は異なります。計算した金額が60,000円未満であれば、一律で60,000円になります。株式会社の場合は150,000円なので、負担は減ることになります。

8. 会社設立にかかる費用の目安

今まで見てきたように、会社設立に当たっては複数の作業があり、それぞれに費用がかかってきます。合計でどのくらいの費用が求められるのか、ある程度目安を知っておくと準備がしやすくなります。
その際には、株式会社と合同会社の合計額の違いを確認して、どちらの会社を立ち上げるかの判断基準にすることもできます。

株式会社設立の場合

株式会社では、定款作成にかかる費用として合計72,000~92,000円程度かかります。登録免許税は最低で150,000円かかり、資本金額が増えればその分増額となります。資本金は1円以上で、それぞれの会社で異なります。これに印鑑を作る費用や証明書を取るための手数料などが10,000円ほどかかってきます。これらの費用を合計すると、目安としては240,000円以上ということが分かります。資本金や作る印鑑の種類によっては、これ以上かかることになります。逆に、電子定款にすれば200,000円程度に抑えられます。

合同会社設立の場合

合同会社では、定款作成費用として40,000円かかります。登録免許税は最低で60,000円以上で、資本金額によってはこれ以上かかります。資本金は1円以上で自由に決定できます。合同会社設立でかかる費用としては、合計110,000円ほどとなります。電子定款にすれば70,000円くらいに抑えることも可能です。

9. 会社設立の費用を下げるコツ

会社設立にはある程度の費用がかかるので、その後の経営を考えると少しでも費用を抑えたいと思う経営者もいることでしょう。費用を下げるコツを学んで、負担を軽減したいものです。

登録免許税を半分にする方法

「産業競争力強化法」を適用することで、登録免許税を半額にすることができます。すべての自治体で実施しているわけではありませんが、市町村からのサポートを受けて会社設立をすることによって、登記の際に納付する登録免許税が50パーセント軽減されるという制度があります。自治体に問い合わせて、この制度を利用できないかチェックしてみましょう。

税理士に依頼する

会社設立に当たっては、法定費用の他に専門家に会社設立のサポートをお願いすればそのための費用が発生し、内容によっても費用の金額は異なります。例えば、税理士の中には、会社の設立に必要な資金の調達を支援しているところもあります。こうした支援サービスを申し込めば、費用はかかるものの、会社設立に伴う負担は減るので、利用を検討してみるのも良いでしょう。

10. まとめ

会社設立に当たっては、手続きにかかる手数料や税金などでそれなりの額の費用が発生します。株式会社を立ち上げるか合同会社にするかによって、設立費用が大きく変わってくるという点も覚えておきましょう。
スムーズに会社を立ち上げて事業を始めるためにも、事前に十分な額の資金を用意しておくことが大切です。