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2021.12.01

償却資産に対する固定資産税(いわゆる償却資産税)の概要

「償却資産税」という言葉をご存じでしょうか。起業間もない、あるいはそれ以降もその存在を知らない事業主の方が多い税金です。法人税や所得税、また、消費税や事業税・住民税の申告は毎年一度は行わなければならないと事業主皆さんがよくご存じの税金。他方この償却資産税とは固定資産税の一種です。実は、固定資産税は土地や家屋だけに課される税金ではなく、機械や備品など、いわゆる償却資産にも課されます。今回は償却資産に対して課される固定資産税を中心にまとめていきます。

そもそも固定資産税とは

固定資産税は、1月1日現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額を、その固定資産の所在する市町村が課税する税金です。これは個人、法人を問わず申告しなければならない税金です。

償却資産の具体例

土地、家屋は皆さんよくご存じですが、償却資産とはどのような資産をいうのでしょうか。
具体的には以下のような資産をいいます。

①構築物
舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)等

②機械及び装置
各種製造設備等の機械及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備等

③船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船等

④航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダー等

⑤車両及び運搬具
大型特殊自動車(自動車税、軽自動車税の対象となる車両は対象外)等

⑥工具、器具及び備品
パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン等)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器等

償却資産税では、次のようなものは対象となりません。
・土地や建物など、固定資産税が別途掛かってくるもの
・自動車税、軽自動車税の課税対象となるべきもの
・ソフトウェアなどの無形固定資産
・耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満で資産計上せずに一括費用処理を行った償却資産
・取得価額が20万円未満で、資産計上を行い3年間で償却する償却資産(一括償却資産)

なお、中小企業者等が取得価額30万円未満の資産を資産計上せずその取得年度に一時に費用処理した資産(少額減価償却資産)は償却資産税の申告対象となりますので留意が必要になります。

償却資産税の申告の流れ

償却資産の申告から課税・納付までのおおまかな流れは、以下の通りです。

① 申告書の提出
各年1月1日時点で保有している償却資産を1月31日までに、各市区町村に申告書を提出します

② 市区町村による価格等の決定と課税台帳への登録
申告および調査に基づき、償却資産の価格等が決定されます。価格等が決定された償却資産は、「償却資産課税台帳」にその決定内容が登録されます。

③ 課税台帳に登録した旨の公示・閲覧
償却資産が償却資産課税台帳に登録されたら、その旨が通知・公示されます。公示されると、償却資産の所有者等は、課税台帳に登録された価格等を閲覧することができるようになります。

④ 審査の申出
課税台帳を閲覧し、決定された価格に不服がある場合には、審査の申出をすることができます。

⑤ 税額の算出および納税通知書の交付
毎年6月上旬になると納税通知書が交付されます。ただし、価格等を算出した結果、課税標準額が150万円未満の場合は課税されませんので、納税通知書も交付されません。

⑥ 審査請求
課税内容に不服がある場合には、審査請求をすることができます。

⑦ 納期
市区町村から送付する納税通知書(納付書)で、通常年4回に分割して納付していきます。東京都23区の場合、第1期:6月、第2期:9月、第3期:12月、第4期:翌年2月が納期となりますが、納期は市区町村によって異なりますのでそれぞれの事務所が所在する市区町村の納期をしっかりと確認しておく必要があります。

まとめ

今回は償却資産に課される固定資産税(償却資産税)の概要をご紹介しました。償却資産税の存在はあまりよく知られていない税金ですが、償却資産の取得は事業を経営する中で頻繁に発生します。法人税や所得税、消費税などの税金と共に償却資産税の申告についてもしっかりと漏れのないように対応していきましょう